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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)106号 判決

主文

原判決を破毀する。

本件を大阪地方裁判所に移送する。

理由

弁護人弓場晴男の上告趣意について。

本件は裁判所法施行前の昭和二二年四月四日大阪区裁判所檢事局檢事山根正より大阪区裁判所に対し起訴せられて同裁判所に係属中同年五月三日より裁判所法が施行せられた結果、裁判所法施行法第二条第一項及び裁判所法施行令第三條第一項乃至第三項により大阪地方裁判所の一人の裁判官によって審判せられた事件である。從って本件の控訴については、裁判所法施行令第三条第四項及び第五項により大阪地方裁判所が裁判権を有し、同裁判所の合議体でこれを審判しなければならない。それにもかかわらず大阪高等裁判所が本件の控訴について審判をしたのは、不法に管轄を認めたもので旧刑訴第四一〇条第五号にあたること、所論の通りであって、論旨は理由あり、原判決は破毀を免れない。

よって旧刑訴第四五〇条に従い原判決を破毀して大阪地方裁判所に移送することとし、主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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